9月初旬、夫の3連休に合わせて、北アルプスの百名山で登れていない最後の一つ、水晶岳へ。新穂高温泉から入り、双六小屋にテント泊2泊で水晶岳までピストンすることに。雲ノ平⇒鷲羽岳⇒黒部五郎岳の周回をしたときにさんざん眺めていた水晶岳。今度は水晶岳からの絶景を眺めてみたい。
1日目
新穂高温泉に着いたのは6:30頃。予想どおり無料の駐車場は満車だったので、ザックと私は新穂高センターで待ち、車と夫は鍋平の駐車場に。鍋平の駐車場に車を停めた夫は下り20分の道をかけおりてきた。
7:10スタート
新穂高センターから左俣林道をわさび平に向かって進む。この道は何度も通っていて何がどこにあるかも全部覚えているほど。ゆがんだ橋をわたり、おたすけ風を感じ、笠新道きつかったな~と思いだし、わさび平小屋で小休止。
このルートを通ると必ず思い出すことがある。
数年前にこの道を通ったとき、すれちがった人が「熊が出た」と教えてくれた。そのとき夫は「雲が出た」と勘違いしていた。私は一人で慌てていたが、夫はまったく落ち着いた様子。(雲が出たって思っているから)。その様子を見て、熊がいても大丈夫なんだな~と何も考えずに歩いてしまった。しばらく進むと、林道の脇に何かいる、熊だ!さっきまで普通だった夫も大慌てでおろおろしている。「熊、ホントにいたね、さっきの人教えてくれたもんね」というと、「え、雲じゃなかったの?」と夫。さっきの落ち着いた様子は聞き間違えてただけだったのか・・・。
こういうときは慌てて熊に背を向けて逃げてはいけないらしい。よく見ると木の実か何かを食べている様子。刺激しないようにそっと後ずさりして通り過ぎることにした。熊も私たちを気にすることなく食事を続けており、事なきを得た。
こんな思い出話をしながら歩いていると小池新登山口に着く。
8:40 小池新道登山口
雲の中に少し青空も見える。アルプスらしい景観が見えてきた。小池新道はとても整備されていて歩きやすい。石段の高さがちょうどいい感じ。整備してくださっている方ありがとう。
11:14 鏡平山荘
鏡平につくころにはガスで回りの山並みは見えず、鏡池への槍穂高連峰のリフレクションもなし。鏡平山荘の前にはコーヒーフロートやかき氷を食べる人で込み合っている。9月に入ってはいるけど、土曜日なので登山者が多い。お腹がすいたのでかき揚げうどんを食べることにした。コーヒーフロートは帰りのお楽しみにとっておこう。
この後、弓折乗越に出るまでの登りはそれほど急登というわけではないけれど、地味にきつい。
12:33弓折乗越
ここまで来てしまえば、この後の双六小屋までの道は天国のようだ。時期によってはお花や雪渓、遠くに槍穂高連峰を望みながら楽しい稜線歩きができる・・・がしかし、今日はガスの中。ここからの景色も帰りのお楽しみにとっておこう。
13:44双六小屋
明日の行程を短くするためにこのまま三俣山荘まで行くことも考えたけれど、やっぱりここでゆっくりしよう。このテント場は4回目の利用。水も小屋の前で汲めるし、トイレも綺麗。(水洗トイレもある!)土曜日だけど平らな場所を選んでテントを張ることができた。
明日の行動時間は12時間の予定。結構頑張る感じなので、早めにご飯を食べて寝ることにした。
2日目
3:40 双六小屋出発
まだ暗い中、ヘッドランプを灯しながらあるく。三俣山荘へは双六岳を超えていくルート以外に中道と巻道がある。双六岳には登ったことがあるし、行程を短くするということを重視して巻道を選択した。
5:50 三俣山荘
空が明るくなりはじめたころ、三俣山荘到着。ここから鷲羽岳を超えていくルートもあるけれど、鷲羽岳は昨年登って最高の景色をみることができたし、鷲羽岳への激登りで体力をすり減らすことは避けたい。黒部源流方面に下り、鷲羽は巻くことにした。
下りきったあたりに「水が汲めます」という看板があるけれど、これが黒部川の源流なのかな?もう少し進むと「黒部源流の碑」があるけれど、その碑の周りに水の流れる場所はない。どこが源流なんだろう?
ここから雲ノ平まで直登することもできるけれど、今日の目的は水晶岳なので岩苔乗越へ登る。この登りがまた地味にきつい。
7:26 岩苔乗越まで登り切った!去年、祖父岳から下ってこの場所にきたときは絶景が広がっていたけれど、今回は真っ白なガスの中。ワリモ岳への分岐まで登ったら水晶岳方面へ。
歩きやすい道が続くけれど、相変わらずガスで眺望はない。
8:12水晶小屋到着。やっぱり景色は見えない。小屋前のベンチからは絶景が見えるはずだけど、残念。名物の力汁は山頂にいった後に食べることにして、早々に山頂へ向かうことにした。小屋を出発してしばらくはなだらかな歩きやすい道が続く。その後、岩場になり鎖場や梯子もでてきたけれど、それほど怖いということはなかった。ガスで見えないこともあり、次のピークが山頂?ちがった・・次のピークが山頂?ちがった・・・ということを何度か繰り返す。
8:51水晶岳南峰到着。ただ、まだ真っ白のまま。水晶岳には双耳峰で北峰もある。景色は見えないがとりあえず北峰までいこう。
8:57北峰到着。南峰のほうが高いけれど、北峰に三角点がある。しばらく待ってみるもガスも晴れそうにないので、早々に小屋に戻ることにした。
9:48 水晶小屋到着。念願の力汁を注文し、外のベンチでまっているとガスが流れ、とぎれとぎれ稜線が見えるようになってきた。小屋の外で丸太の椅子に座り、裏銀座の稜線を眺めながら食べることに。力汁はお餅が2個、ちくわや根菜などが入っていて食べ応えがあり、生姜?の効いた味噌味でめっちゃ美味しい。ここにきたらこれは絶対食べたほうがいい!
力汁を飲み干したら元気がでたので頑張って来た道を戻る。
水晶小屋からワリモ分岐に戻るまでの間、行きには見えなかった景色が少しだけ見えた。こんなに絶景だったのか!やっぱり晴れた日に来たかった。
12:17 三俣山荘到着 この山荘にはとてもおしゃれな食堂がある。去年はオムライスを食べてとても美味しかった。今年はサイフォンで入れたコーヒーとケーキをいただく。優雅な時間をすごしているといつまでもその場にいたくなるけど、今日は双六小屋のテントまで戻らないといけない。ケーキを食べ終わったら出発。
朝は巻道をとおって三俣山荘まできたが、帰りはせっかくなので三俣蓮華岳を登って帰ることにする。
13:39三俣蓮華岳
山頂からの景色はやはりガスで真っ白。本当なら見えるであろう鷲羽岳や雲の平、黒部五郎岳などの山並みを想像しながら一息ついていると、足元で雷鳥が砂浴びをしていた。こんなに側にいるのにぜんぜん逃げない。
双六岳の山頂にはいかず、中道をとおって双六小屋まで帰る。
15:32 双六小屋
約12時間行動。想像していたよりは辛くなかったけれど、やっぱり疲れた。今日はぐっすり眠れそう。
3日目
4:00 下山するだけなのでのんびり起床。天気は3日間の中で一番の晴れ。小屋の前からは綺麗な鷲羽岳と雲海を見ることができた。
6:00 出発。テント場を出て木道を歩き、花見平へ登り貸して振り返るとテント場と小屋の向こうに大きく鷲羽岳、横に水晶岳の頭が見えた。弓折乗越方面へ歩くと雲一つない青空と槍ヶ岳~大キレット~穂高の稜線がバーンと見える。今回の山行で一番の絶景だ。写真や動画を撮るために立ち止まっているとなかなか前に進めない。
7:39 鏡平山荘に到着。コーヒーフロートで休憩。鏡池の槍・穂高のリフレクションもばっちり見える。
あとは黙々と下りるのみ。
10:32 わさび平小屋。名物のそうめんを食べる。そうめんってこんなに美味しかったっけ?と思うほど予想外に美味しい。
11:55 新穂高温泉センター到着。
百名山57座目水晶岳の登頂と、各小屋の名物(力汁 サイフォンコーヒー コーヒーフロート、そうめん)、3日目は絶景を見ることもできて大満足の山行でした。
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